2019.1.24 今日は、麗澤中学校 https://www.hs.reitaku.jp/ のT君とI君がボランティアに来てくれました。実は、T君は既に数回緑のきずなプロジェクトの活動に参加しています。
ある日、突然私のパソコンに『中学3年生でも入れますか? 』と言うメールが入ってきました。千葉大などの大学生ボランティアは時々来てくれるのですが、中学生ボランティアというのは今回が初めてです。何と素敵な助っ人でしょう! 実は、私は現在花見川区の中学校に地域活性化クラブを立ち上げることはできなきかと思案を巡らせているところだったのです。1年ほど前からこの話は出ていて、私たちは前例(モデルとなる中学校)を探していたのです。保健福祉センターの前所長さんからも『伊達さん、どこかでこの活動をやっている中学校はないだろうか?』と言われていました。しかし、そんな活動をしている中学校は何処にもありません。それが、一体どうした巡りあわせか、このタイミングで麗澤中学校のT君から問い合わせがあったのです。T君はテニスを頑張っていましたが、事故で大怪我をし、現在部活を休部しています。まさに事故が人生の転機となったわけです。ボランティアに目を向けたT君は、間髪入れずに私の活動を見学に来ました。
活動の後、私はT君に二つの話をしました。一つは私の息子の話です。息子は幼児期から運動が得意でサッカー選手になるのが夢でした。幼稚園の卒業アルバムも、小学校の卒業アルバムも、中学校の卒業アルバムも『夢はサッカー選手』でした。念願のサッカー名門校の八千代高校に合格した時、息子は私に宣言しました「今日から勉強はしない!サッカーだけをやる。勉強などしている暇はない。1分でも人より多く練習しなければトップチームの中心選手にはなれない。」とのことでした。私は息子に「君の人生だから、君が決めることだ」と言いました。驚異的な練習をこなし、トップチームに食らいつき、まさに栄光のフットボールライフが始まろうとしていた1年生の冬、息子は膝を壊し、入院、手術、リハビリ… と、どん底へと落ちて行きました。サッカーをするために八千代高校に入学した息子がプロへの道を絶たれた時、一体何をすればよいのでしょうか? 退院して学校に登校した第一日目に彼が思いついたことは、部室の大掃除でした。松葉杖をつきながら。「今までみんなが自分を応援してくれたのだから、今度は自分がフィールドの選手を応援し、影で支える番だ」と。幼児期から常にチームの中心選手としてベンチに座ったことなど一度も無かった息子のフットボールライフは、ひたすらチームの雑事をやる試練の毎日に変わりました。さて、三年の春が来ました。入学時『勉強しない宣言』をした息子の偏差値は30まで下がり、サッカー選手への栄光の道も閉ざされていました。一体息子はどんな選択をするのでしょう? それは『サッカーは、最後までやる。そのためにこの高校に入ったのだから。そして全力で受験勉強もする!』という選択でした。驚いたことに、息子の30の偏差値は受験までに70まで上がり、念願の立教大学の国際経営学科に合格しました。そして、そこでUMINARI https://uminari.org/ というNPO法人を立ち上げ、国連と連携し、今まさに順風満帆の学生生活を送っています。https://ideasforgood.jp/2020/03/26/uminari/ 『大きな不幸は、大きな人生の転機』であることをT君に話しました。
二つ目の話はダライ・ラマの話です。あるとき登校拒否の女の子がダライ・ラマに相談をしました。「私は、どうしても学校へ行くことができません。どうしたらよいでしょう。」ダライ・ラマの答えは次のようなものでした。
『Lying beyond your daily life are the important issues.
Humanity, and peace.
視線を遠くに向けてごらん、すると(日常生活の向こうに)大切なことが見えてくる人類とか、平和とか』
つまり、今日友達が自分に意地悪をしたとか無視したとか、日常生活の出来事から遠くへ視線を向けてごらん。そこには、戦争をしている国がある。食べ物がなくて、飢え死にする子どもたちがいる。「私は、どうやったら幸せになれるだろう?」ではなく、「あの不幸な人たちが、どうやったら幸せになるだろう?」と考えてみてごらん。『人の幸せのために生きることが、自分自身の幸せを掴むことなのです』とダライ・ラマはその女の子に説いたのでした。するとT君は、「ダライ・ラマ! 僕たちの学校に来ました!」と、とても驚いていました。「こういうことって偶然ではなく、必然なんだよね」と彼に言うと、T君は「次回友達を連れてきます。」と今日本当に友達を連れてきたのです。実はその友達には不幸なことがあり、辛い思いをしているとのことでした。
私は、T君とI君に話しました。「人生には何度か転機があり、事故にあったり、親と死別したり、自分が悪くも無いのに辛い思いをすることがある。でも神様は、私たちに背負えない重荷を背負わせることはない。今君たちが辛い思いをしたり、不幸にあったりすることは、君たちが人として大成することを意味してるんだよね。リンゴは剪定されて大成する。今君たちは、枝を切り落とされたわけだけど、それは君たちが『一回り大きな人間に成長する』という神様のメッセージだと思ってほしい」と。
私は、彼らと巡り会えたことを嬉しく思います。今この子たちは、中学校に部活を立ち上げようとしています。何か世の中のためになる部活。地域は今空洞化していて、私が住む瑞穂の街でも孤独死がありました。私は今、地域に『異なる世代が互いに助け合い、知恵を出し合い、創り上げるコミュニティ』を作っています。その中で、子どもボランティアは、地域をサポートする大きな力になっています。このような子どもたちの活動が全国に広がってくれれば、空洞化した社会は大きく変わると私は信じます。
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