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執筆者の写真緑のきずなプロジェクト

地域で子どもを躾け、育てる

更新日:2023年4月26日

  少子高齢化の原因の一つに、子どもを育てにくくなったという現実があります。かつては、地域の大人たちが子どもたちを叱り、躾けて来ました。しかし、『ご近所』というコミュニティがなくなってしまってからというもの、地域社会は子どもがうるさかったり何かいたずらをするたびに禁止し、そこから子どもを締め出してきました。その結果、私の住む街は、子どもの姿をすっかり見なくなりました。小学校も閉鎖に向かっています。

私がいつも疑問に思うことは、『地域の大人たちは、何故躾けないのか?』です。


 例えば、私の住むマンションでは、落書きと破損を見つけたので、キッズルームと子ども図書館を閉鎖しました。子どもの遊具も全部撤去しました。子どもの締め出しです。私がPTAの郊外指導部の部長をやっていた頃、地元M小学校の先生方と街のパトロールをしました。1千世帯住むマンション内をパトロールした時の先生方のショックは大変なものでした。子どもが一人もいなかったのです。「伊達さん!子どもはどこに行ったの?何故これだけの世帯数が住んでいるのに子どもが一人もいないの?」と先生方は、もう泣き出しそうでした。私は「見事締め出されました」と答えるしかありませんでした。落書きと破損をやめさせるためには、本当にこんな方法しかないのでしょうか?

 

 数年前、私が活動をしている花見川区保健福祉センターの壁に、子どもたちが落書きをしました。私はこういうとき、決して犯人探しをしません。やった子どもは、自分でわかっているし、その子が『これからはやめよう』と心の中で思ってくれればそれでいいと思うからです。私が「壁が酷い事になってるね!」と言うと、子どもたちは一斉に「僕じゃないよ!」「私じゃないよ!」と言いました。「わかった。それじゃぁ みんな手伝ってくれるかなぁ。この壁の落書きをみんなで落とそう!」と言うと、みんなは張り切って「いいよ!お手伝いする!」と言ってくれました。どの方法が一番綺麗になるか、みんなは意見を出し合い、あれこれ試し、誰が一番綺麗に落書きを落とすことができるか競争になりました。そのうち、落書き以外の染みなども、子どもたちは熱心に落としはじめました。瞬く間に壁はピカピカになり、壁一面がまるでリフォームしたように綺麗になりました。「綺麗になると気持ちいいね!みんなありがとう!」と言うと、みんなは嬉しくなって、今度は床の染みまで落としてくれました。あれから、保健福祉センターの壁に落書きをする子どもは一人もいません。『禁止』は、決して子どもたちを成長させません。『禁止』ではなく、私たちの手で、地域の子どもたちを躾け育てて行きましょう。子どもたちは地域の宝です。子どもを締め出すということは、街が死んでいくことを意味するのです。



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